陰陽五行を基礎としている四柱推命はバランスを重視した占いですから、「運勢の良し悪しは陰陽と五行のバランスが取れているかどうかで決まる!」といってもあながち間違いではありません。
五行バランスの見方でも、木火土金水(もっかどごんすい)という5つの五行のバランスが良いと万人受けしやすく、逆にバランスが悪いと変人だったり癖が強い傾向があるとご紹介してきました。
とは言え、全部の五行がまんべんなく行き渡るのは平凡で、少しくらいバランスが崩れているくらい方がスリルのある人生を楽しめたり、大発展する可能性を秘めている、という考え方も無きにしも非ず…
しかし、”バランスが良い”ということはすなわち”つりあいが取れた状態”ですから、少しくらい傾いても大きく破綻することは少ないもの。逆に極端にアンバランスな場合は信じられないほど跳ねる可能性がある反面、ちょっと気を抜くとあっという間に頂から奈落の底に転がり落ちる危うさを秘めているのは確かです。
陰陽のバランスも、ある程度ばらけている方が何事も無難に対処できたり融通性があったり、誰からも受け入れられやすいのは同じで、
陰6:陽2
陰2:陽6
のように多少、数のバランスが片方に偏っていたとしても、陰と陽の両方が存在しているなら全く気にする必要はありません。
しかし、たまに
全て陽(陰0:陽8)
全て陰(陰8:陽0)
という、極端に偏った命式をお持ちの人がいらっしゃいます。
四柱八字が全て陽のことを「八字全陽」、四柱八字が全て陰のことを「八字全陰」と言いますが、どちらも不均衡な状態であり、相当バランスが悪いと言えます↓
【注意】四柱八字の全陰・全陽は、命式作成ツールで自動で出るようになっておりませんから、↓を参考にご自分で命式に+-を書き込んでチェックしてみてください
- 陽(+):甲 丙 戊 庚 壬 子 寅 辰 午 申 戌
- 陰(-):乙 丁 己 辛 癸 丑 卯 巳 未 酉 亥
「八字全陽」と「八字全陰」とは
「八字全陽」「八字全陰」とは、南極や北極で起こる「白夜」や「極夜」をイメージしてみてください。
太陽が24時間沈まずに夜になっても明るい状態と、太陽が昇らずに昼間も真っ暗な状態…
短期間ならともかく、そんな中で一生涯生きるとなると体内時計のリズムが狂いそうですし、特殊であることは何となく想像できると思います。
陰陽説
ざっくりと言うと、『この世の全ては「陰」と「陽」の両方が存在することでバランスが保たれている』という考え方が陰陽説です。
- 陽:男 昼 表 上 海 光 生 太陽 N極 + …
- 陰:女 夜 裏 下 山 闇 死 月 S極 − …
このように陰と陽は対になっているものであり、互いに逆の性質を持っていて、それぞれに役割があり、陽にないものを陰が補い、陰にないものを陽が補うわけです。
そしてお互いを適度に刺激したり、押したり引いたりしながら支え合ってバランスを保っているわけですが、それがどちらか片方しかないとなると調和が崩れることになり、バランスの悪い人間になりやすく、
- ある部分が極端に優れている反面、極端に劣っていることがある
- 変わった考え方をする
- 加減の調節が下手、セーブが利きにくい
- 吉凶の差が激しい
- 心のバランスを崩しやすい
という状態になりやすく、性格に難がある、一癖も二癖もあるような、振り切った人間が多くなります。
例えば、興味のあることはとことん突き詰めるけれど興味のないことには一切見向きもしないため、学校の勉強でも”歴史だけ100点であとは赤点”とか、仕事でも特定の分野の才能や集中力はすごいけど、他のことはどれもこれも一人では満足にできないとか、だらしないとか!
それがちょっとズレているくらいか、それとも超ぶっ飛んでいるのか!?、程度には個人差がありますが、普段は普通に見えてもピンチの時や感情が昂った時に、常識はずれの変わった一面が顔を出すこともあるでしょう。
もしかすると天才と呼ばれるような人やアーティスト等は、この不均衡な状態でこそインスピレーションを感じるものなのかもしれませんが、総合的には「八字全陽」も「八字全陰」も考え方が突飛で、感情の起伏が激しく、そのせいで心をすり減らしやすいという見方をするのが一般的です。
では「八字全陽」と「八字全陰」の見方をそれぞれご紹介します。
八字全陽の運命
四柱八字が全陽の人は、年がら年中、陽があたっているような状態ですから、陽気で身旺と同等の強いエネルギーを持っています。目立ちたがり屋だったり、大勢の中でも注目される存在になることが多いでしょう。
明るくエネルギッシュで、大人しくじっとしているようなタイプではありません。自分の考えを素直に表に出そうとするあけっぴろげな性格なので、やらないと(言わないと)気が済まないとか素顔を隠しておけないというタイプも多く、人との交わりにも積極的で新しい環境でも物おじせずに豪快に飛び込んでいく強さと行動力があります。
「自分の人生は自分自身で決める!」とやりたいように生きますから、束縛が強い環境や自由を奪われることを最も嫌います。
しかし、プラスのエネルギーしかないことで自我が強烈になりやすく、セーブが利かずについついやり過ぎたり行き過ぎることが多くなったり、いつでも自分中心で周りに鈍感、人の意見に素直に耳を傾けることができません。
盲目的にもなりやすく、本人は普通にやっているつもりなのにいつの間にかはみ出していたり、勢い余って脱線してしまうことも。
バックの機能がついていない車の如く、ひたすら前へ前へと勢いよく突き進んでいく激しい性格を、自分でもうまくコントロールできない人がほとんどなのです。デフォルトではブレーキの効きも弱いので、どこかに追突しないように意識してブレーキを掛ける必要があるでしょう。
このような性格ですからどうしても軋轢や対立が多くなり、自然と周りから距離を置かれがちで、冷ややかな視線を浴びたり、気付いたら一人だった…ということも多いかもしれません。
進撃するうちに心がボロボロになったり、対人関係で悩んだり孤独になりやすいのです。
全陽の人は、興味のあることに対して注ぐ情熱は半端ないので、強いエネルギーがうまく働けば大発展する可能性を秘めていますが、強烈な自我が災いして物事がスムーズに運びにくいため、大抵は気合いだけが空回りして、眩しいほどのパワーを生かしきれずに結果的に挫折したり、大成しないまま終わることが多いのです。
特に凝り固まった組織の中では無意識にはみ出してしまうため、一人だけ浮いてしまったり相当の生き辛さを感じるでしょう
女性の全陽は特に生きづらい
陰陽五行の教えはどうしても”男が上で、女は男を支える”という古くさい考え方に基づいていますから、「男性は陽・女性は陰」を表すものなのに“女性の部分が全くない女性の全陽は、自然の摂理から大きく外れている”と見なされ、男性の全陽より女性の全陽の運命は厳しいと言われています。
私見ですが、昔のヨーロッパで活発で発言力のある女性が魔女と見做されたのと同じで、女の出すぎは良くない!と言うことなのだと思います。まぁ、今の時代にはそぐわない偏った考え方かもしれませんが、強い女性が生きづらいというのはおそらく昔も今も同じで…出る杭は打たれやすいのです。
女性の八字全陽は強すぎることで弊害がでやすく、お転婆で中身は男ですから、ガサツで女らしさに欠けます。結婚して家庭に収まるよりも男性と肩を並べて社会的な活躍を目指す方が性に合うのですが、世の中はまだまだ男性中心ですから、見えない壁に阻まれて思うような活躍ができずに苦しんだり悩むことが多くなります。
恋愛や結婚についても間違いなく男勝りのかかあ天下で、似た性格のパートナーではケンカが絶えませんし、抑えつけられたり型にはめられたりすると余計に反発するため、相手の方は扱いに手を焼き、そのうちに疲れ果ててしまいます。
よって、パートナーはかなり理解と忍耐力のある人を慎重に選ばなければ、関係はすぐに破綻するでしょう。また、関係を長続きさせたいなら常に自分を抑え、調和を図るための我慢が必要です。
全陽の人は男性もそうですが、特に女性は本能のまま生きると軋轢が生じやすいため、自分で自分を手なずけて、強烈な自我を抑制することが必須です。本来の自分を抑えることは自分を否定するようで非常にストレスが溜まることですが、少しセーブして控えめに生きるくらいが丁度良いのです。
我慢は大嫌いでしょうが、自分で意識してバランスを調整しなければ破滅に向かうことになり、ある日突然ボキッと折れたり、社会から大きくはみ出してしまうことがあります。片方が極端に強いということは、必然的にもう片方がもろいということを忘れないでください。
特にお子さんが全陽であると気付いた場合は、取り返しのつかない失敗や人の道から外れた行いをしないように親がしっかりコントロールしてください。露骨にやると反発が凄いので、おだてたりしながら上手に操縦しましょう。
八字全陰の運命
四柱八字が全て陰の人は、常に陰の”気”をまとっているので、もの静かで、どことなく影がある感じですが、物事の解釈が独特で、こだわりを深く掘り下げていくところがあります。
人との関わりよりも自分の世界に入り込みやすく、それが研究や創作とうまく結びつけば大きな発展が期待できるかもしれませんが、華やかな場所は居心地が悪く、ガヤガヤしたところよりも静かなところの方がしっくり来るようで、おのずとインドア派が多くなります。
全陰には繊細でちょっとした刺激にも過敏に反応してしまうような、いわゆるデリケート気質な人も多く、新しい環境や知らない人に対して強い警戒心を持ったり、交友関係もコンパクトで自分のテリトリーの中で生きることを好みます。テリトリーを少し広げるのにも慎重で、かなりの時間と勇気が必要かもしれません。
全陰の人は実際に孤独なこともありますが、たとえパートナーや家族に囲まれて愛されていても、心の奥底で孤独を感じていることがあります。”心に闇を抱えている”という表現が適切かどうかはわかりませんが、自分から人を遠ざけて自分の世界に籠ることも多いのです。
自分の心の操縦が下手で、ひねくれて本心とは裏腹な嘘を言ったり、あまのじゃくな性格を持つこともあります。本心が分かりにくい(明かさない)ことで周囲からの理解が得にくかったり、敵を作りやすいのはもちろんのこと、なぜそのような態度をとってしまうのか自分でもわからずに悩んだり、周りに理解者がいないことで苦しむことがあります。
また、他人と会話や意見を交わすことを避けて、言いたいことを飲み込んでしまう人も多く、ストレスを貯め込みやすいと言えるでしょう。
貯め込んだストレスを発散することも不得手で、塞ぎ込んで心のシャッターを閉じてしまったり、鬱病にもなりやすいので、精神のバランスを崩しやすい性質であることを理解し、陰に入り込み過ぎないように日ごろから意識することが大切です。
女性の全陰は女らしい、男性の全陰は頼りない
「男性は陽・女性は陰」を表すものなので、女性の全陰は乙女そのものであり、おしとやかで女らしい人が多くなります。おしゃれ心も盛んでしょう。
バランスが極端であっても、女性の全陰はあるべき姿に近いためまだ良いのですが、男性の全陰には”男の部分が全くない”ということなので、男らしい部分が隠れやすく、中性的な印象になるでしょう。
男女ともに、控えめにしたりあまり目立たないように意識することが多く、光のあたらない地道な作業を好んだり、自分が前に出るよりも誰かをサポートしたり、影のように生きたり、誰かを頼ったり、すがるような、依存的な生き方をしやすいでしょう。
本来の性格や気持ちとは裏腹にスポットライトが当たる場所に導かれてしまった場合、その眩しさに怖じ気づいたり躊躇することがあるかもしれませんが、そんな時は陽のエネルギーを取り入れる気持ちで積極性を心がけ、暖色系の明るい色の服を着る、朝日を浴びる、日光浴をする、部屋に照明を置くなど、気休めのようなことでも構いませんので、自分自身で陰陽のバランスを整えるように意識しましょう。
また、自分一人では厳しいことも、誰か信頼のおける人物と共に歩むことで乗り越えられることがありますから、自分に足りない部分を補ってくれるパートナーを見つけましょう。
身近に全陰の人がいたら、さりげなく灯りを置いたり、エスコートしてあげてください。
以上です。
全陽・全陰の人に何となくでも伝われば幸いです。